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家が、あなたの命も財産も奪います!

大地震の発生弱い木造家屋の倒壊
中の人は下敷きに弱い家はわずか十数秒の地震の揺れで、一瞬のうちにつぶれます

 どんなときでも、もっとも大切なのは、生命。一度失われれば、二度と、取り戻すことはできません。ところが、大地震においては、多くの生命・財産が、一瞬のうちに失われてしまいます。
 阪神・淡路大震災において、命を落とした方は6,400人(直後になくなった方は約5,500人)を超えています。負傷者数は約44,000人、家屋の全半壊数は約250,000棟、約460,000世帯にもおよびます(平成16年防災白書)。神戸市に限定してみると、監察医が検案した神戸市内の死者約2,400人の死亡時間は、震災から14分以内が約2,200人と92%を占めました。つまり、亡くなった方のほとんどが即死で、その死因の多くは、窒息死や圧死でした。寝ているときに、突然、大地震により家や家具が覆いかぶさってきて、胸やお腹のあたりを圧迫し、呼吸ができなくなります。そうなると、人は5分以内、長くても10数分で死に至ります。
 では、なぜ、このように多くの方が即死したのでしょうか。地震が大きかったからでしょうか? 大地震では確かに爆撃を思わせるような揺れに驚かされますが、それだけでは死に至ることはまれです。では、なぜなのでしょうか。それは、大地震のため、多くの家や家具が凶器となって襲いかかってきたためでした。

 災害は例外なく、あらゆる弱い所、弱い人に対して、まるで選んでいるかのように残酷に襲いかかります。大地震では、頑丈に造られた家は全く被害がないか少しのヒビ程度ですむ一方、弱い家は一気に倒壊したり2階建の1階がつぶれたり(層破壊)しました(下の写真を参照)。
 どのような家が弱かったかという傾向をみると、古い建造物、建築基準法が改正された1981年以前に造られた建築物に被害が多くみられ、筋交いが十分に入っていなかったり、筋交いと土台がしっかり固定されていなかったり、シロアリや湿気により木材が腐食しているなど、長年、手入れをしていない家の多くが被害を受けました。この地域が、台風対策のために重い屋根瓦だったことも、この地域で被害を大きくした一因ともいわれています(ただし、建築年度については、1981年以降の建造物でも、被害があった建物もありますので、注意が必要です)。
 このような弱い家に住んでいたのが、主に1つの家に長らく住んでいた高齢者や、家賃の安いアパートに下宿をしていた学生たちだったことから、これらの層の方に犠牲者が多かったともいわれています。

阪神・淡路大震災(M7.3、最大震度7)の被災写真

ホンの一瞬で、弱い家は崩壊
兵庫県広報課 提供
木造建は1階はつぶれても2階は残る可能性大
兵庫県広報課 提供
鉄筋コンクリート(RC)・鉄骨鉄筋コンクリート
(SRC)造建築の中間層がつぶれる

神戸市消防局 提供
奥の建物は被害なしでも、手前は全壊
大地震は、弱いものを選んで襲いかかる
神戸市消防局 提供

 このような大変、不幸な結果を受けて、現在では、地震大国日本におけるもっとも効果がある減災対策は、建物の耐震化、耐震補強ということがはっきりしました。皮肉にも、2005〜2006年にかけては、耐震偽装事件によって、建物が大地震に耐えられるかどうかが大きくクローズアップされましたが、あなたが住む家が頑丈であれば、地震からあなたや家族の生命を守ることができるのは明らかです。
 人は、何度か、人生のなかで住まいをかえる換える機会が訪れます。そのとき、固い地盤に立つ頑丈な家を選ぶチャンスです。加えて、その他の災害の危険も調べてから決めましょう。過去の水害の履歴や、土砂災害、盛り土などの造成地かどうか、また津波を受ける危険がない地域かどうか等、できるだけ調べましょう。新たに住処を変えるときが、あなたの運命の分かれ道になると考えるべきです。
 また、すでに家を持っていたり、しばらく引っ越す予定のない方は、ご自分の住んでいる建物が、大きな地震に耐えうる強度をもっているかどうかを調べておく必要があります。最近では、「耐震診断」や、弱い建物を補強して強くする「耐震補強」に対して一定の助成を行う自治体が増えてきました。まずは、ご自身の住んでいる市区町村に問い合わせをしてみましょう。(飛び込みの業者に頼むのではなく、地元の信頼のおける業者に頼むほうが安心できます。)
 なお、最近では、完璧な耐震補強でなくても家がつぶれずに耐えることができる程度の補強のための工法も模索され始めました。これは、耐震化の費用のねん出、工法の信用性などの問題から、耐震化がなかなか進まない現状を受けてのものです。仮に大地震によって傾いたとしても、家が一瞬で倒れることがないように、また家のなかで長くいる部屋(避難する経路を含む場合もある)を、シェルターのように頑丈にできれば、といった発想からです。これなら、費用も安く、住んだまま改修することができます。(東京都墨田区では、民間の力を借りて、ひと部屋だけの耐震補強でも助成をするといった新たな取り組みが始まっていて、注目されています。)

 言うまでもなく、震災に合われた被災者の多くの方がいまも精神的にも肉体的にも、さらに経済的にも大きなダメージを抱えていらっしゃいます。家族やお友だちを一瞬のうちに目の前で亡くされた心の傷は、時間がたったからといって癒えるものではありません。
 その一方で、最近では当時、30〜40歳代の世代のダメージがもっとも大きかったのでは、と言う声も聞こえてきます。それは、既に抱えていたローンに加え新たにローンを抱えるといった二重ローンとなったからです。この年代の皆さんは子どもを抱える世帯も多かったこともあって大変、苦しい状況にあります。
 このように、まだまだ被災者の生活の復興には多くの課題が残っています。

死なないための一番大切な減災対策は、コレ!

  1. 丈夫な家を選んで住みましょう! もしくは、すでに住んでいる家を丈夫にしましょう!
  2. もし家を丸ごと耐震補強できないのなら、せめてひと部屋だけでも、地震で壊れないように補強しましょう。
  3. もし木造2階建なら、2階で寝ましょう(1階がつぶれるケースが多いので、大地震時にあわてて降りる必要はありません)。
  4. 定期的に、必ず家の手入れをしましょう。シロアリ、腐食には十分にご注意を!
  5. 上記が全くできない場合、シェルターになるベットや丈夫な机(足をつけて補強するタイプもあり)を部屋に置くことも検討しましょう(ただし、大地震では一歩も動けない場合も多いので、寝ているなかの不意打ちといったケースでは、机などでは対応できない場合もあります。自治体等により、耐震補強について助成を行われている場合もありますので、まずは相談をしてみましょう。)

  主な参考資料 :
     平成16年防災白書
    「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」 内閣府・(財)阪神・淡路大震災記念協会

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