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地震の直後、食べ物はありません、届きません

飲み物、食べ物が届かなかったり、自動販売機が使えなかったりする婆愛があります

 阪神・淡路大震災では、地震直後、被災者の元にはわずかな食べ物しかなく、避難所では配給時に、想像を超えた大混乱になったところが多くありました。その生々しい様子は次のとおりです。

  • 地震が発生した1月17日から20日頃までの間は、避難者にとって食料、毛布とも不足気味。
  • 神戸市内での救援物資配布状況によれば、発災当日の食糧は、1月下旬の1/5。安定するのは1月26日頃だった
  • (ある高校にて)夜、避難者一人につきパン1個を教職員が配布しようとしたが、全員に行き渡らない。配給時には混乱し、制止もままならない状況で、配給している教職員の胸ぐらをつかみ「もっともってこんかい」と怒りをぶつける避難者もいた。
  • (ある小学校にて)午前7時に、おにぎり1000食が用意されたが、あっという間になくなった。同8時にはカンパン1200食が配布されたが、列を作った全員には行き渡らず「不公平だ。整理券を配れ」と職員の詰め寄る住民も。
  • (ある小学校にて)19時半、兵庫区役所から、食パン6,000個と菓子パン3,000個が届いたので教職員が配布。避難者全員分(2,000〜3,000人)には足らず、騒然とする。そのとき、報道のカメラマンがフラッシュをたき、避難者に殴打される。
  • 交通事情の混乱のために場所によっては大幅に物資の搬入が遅れ、避難所では当初大きな混乱が起きた。1000人以上の避難者がいたのにかかわらず、17日夜までに握り飯150個、リンゴ2箱しか届かず、不足しすぎているため翌朝まで配分できなかった。
  • 18日になってパンなどが届き、民生委員や自治会役員等に世話を頼んで配分したが絶対数が足りないためにパニックになった。
  • 17日夜、パンなどが届き、個数は十分あると判断して校庭に並んでもらったが列がいつまでも途切れず、最後には半分にしたがついになくなり、子どもが持っていたパンを大人が奪い取って行ったり、配給していた教職員が蹴られ危険な状態になった
  • 避難所でたこ焼きを焼いて無料で配ったことがあったが、数に限りがあるので並んでいる人だけに配布すると言っても、中にいる家族の分も求められ、トラブルになったことがあった。物資の配布を早い者勝ちにしたり、段ボールで区画を作ったりして、大規模の避難所では混乱していたところが多かったようだ。
  • (とある中学校)18時、おにぎり弁当150食分とリンゴ2箱が届くが、とても避難者に行き渡らないので、パニックを避けるため明朝、配ることになった。
  • 行政機関から、1人1枚ずつ渡る数になるまでは配布しないよう指示があり、切望する避難者が目の前にいながら配分できず、置いたまま腐らせてしまった
  • (とある小学校)9時頃、市災対本部からパンと牛乳が届き、教職員が配布を始める。あせって前の人を押しのける人もおり、パニックになった。一人で二回並んだ人も多く、結果的に足りなくなった。この後、近くの量販店が開店していること、個人的な差し入れ等があることがわかり、混乱は少なくなってきた。

 新潟県中越地震でも、場所によっては地震直後は、食料が一時的に行き届かなかったり、冷たいままのパック飯しか配られなかった状況がうまれました。これは、もともと、自治体や地域において備蓄物資を用意していなかったこと、正確な避難所数や避難者数、必要な物資等の把握が困難だったこと、物資の輸送手段がない、または主要道路の渋滞が輸送を妨げた等々、さまざまな要因が重なったと指摘されています。
 このような事態を想定して、自治体、自治会・町会にでは、災害時に開設されるであろう避難所や集落単位で備蓄をしておくことが必要ですし、さらにはご家庭においても、ご家族分×3、4日分くらいの食べ物と水を置いておくことが必要です。火を使わなくても口にできるものや、すぐに食べられる缶詰やちょっとした調理ができるカセットコンロなどがあると便利です。常温で保存でき、賞味期限の長いものや、塩分の少なくカロリーの高い食べ物を多めに買っておきましょう。特に甘いもの(ようかん、チョコレートなど)は、精神的に落ちつくのでお薦めです。

 広域の大災害でなければ、2、3日後から、ある程度、食べ物が配給されると思います。ただ、その際でも、好きな物を選ぶことはできません。たとえば、嚥下困難(飲み込むのが難しい)で流動食を必要とする方や、アレルギーをお持ちの方、特別食を必要とされる方、透析治療中の方などは、それぞれ、個に配慮した、最適の食べ物は、まず配給されません。離乳食やミルクが必要な乳児をかかえるご家族も同様です。そういった方々、もしくはご家族にそういう方がいらっしゃる場合には、ご自分にあった数日間分の食べ物をたくわえておいたり、場合によっては、混乱がおさまるまで被災地の外の知人や親戚の家に身を寄せるなどの選択も視野に入れていただきたいと思います。

 ただし、覚えておいていただきたいのは、震災の混乱期に餓死をした方は全くいらっしゃいませんでした。困るのは、ほんの一時期。その一時期を、行政に頼らず、自分や地域の力で乗り切れるよう、個々の備蓄のほか、地域で炊出し等ができることが望まれます(これらの備蓄は、倒壊した建物の下敷きとなり、使えなかったケースが多くみられます。かといって、いざ、地震の瞬間、持って出ることも極めて困難です。備蓄品は、家屋が倒壊してつぶされたり、崩れそうで取りに行けないような場所でなく、取り出しやすい場所に置くように工夫しましょう)。

飲み物−たとえば自動販売機はどうなる?

 自動販売機類は、まず、停電では使えなくなります。しかし、最近では災害対応型の自動販売機が開発され、徐々に設置が進められています。これは、過去の災害で、被災された方の「のどがかわいているのに、停電のため、すぐそこにある飲み物が手に入らなかった」といった苦い経験を受けたものです。
 パソコン通信を使って遠隔操作により、電光掲示板でメッセージを表示したり、災害時には無料で飲料を提供できる機能をもっているものや、バッテリーを有したもの、また災害時に電源が落ちても鍵なしで誰でも簡単に飲料を取り出すことができるものなどが普及しつつあります。これらが広く設置さるようになれば、自動販売機内に在庫がある限りは、災害時にとても役立ちそうです。
 ただ、人は1日に水を2〜3リットル必要と言われています。常に家族人数分×3日分くらいの飲料水が、家においてあると、かなり余裕がもてます。少しずつでも、ペットボトルを機会あるごとに買い足しをして、ストックしておきましょう。また、給水が受けられる場所はどこか、自治体に問い合わせておきましょう(生活用水も必要です)。
  >>水が出ないと、どんなことに困る?
 なお、自動販売機は、大地震時に倒れるケースも多くみられます。自動販売機は大変に重く、下敷きになると致命傷を負う場合もあります。大地震には、その後、比較的大きな揺れ(余震)がつきものです。そのときに自動販売機や塀などの前にいると大変、危険ですから、近づくときには正面に立たないよう、すぐに逃げることができるよう、注意をしてください。
  >>塀(へい)、自動販売機が倒れてきます


 主な参考資料 :「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」
   内閣府・(財)阪神・淡路大震災記念協会
 ※ 上記、資料に記載されている参考文献の一覧はこちらから >>

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