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一般に、身近にある電話のなかで、つながりやすいのは、公衆電話です

より使える可能性がある順に、公衆電話と電源バックアップのあるIP電話、次に固定電話と携帯電話、最後に電源のバックアップのないIP電話やファックスが続く

 私たちの身近には、いろいろな電話があります。上のイラストを左側から順に、災害直後にどうなるかを見ておきましょう。
 最近、企業や自治体などでも導入が進められているIP電話ですが、従来型のIP電話(050IP電話)と、最近のひかり電話のほか、固定電話の回線につながれているかどうかといった環境等により、違いがあるようです。しかし、一般に、大地震時、停電になるとモデム、ルータの電源が入りません。災害時にも使うためには、非常用の公衆電話回線の設置や自家発電の装置などが必要となります(ただし、電源が確保されていればそれぞれの基幹ネットワークは、災害に強かったという話もあります)。こういった技術は日進月歩ですから、IP電話とシステムを導入する段階から、よく相談・検討するとよいでしょう。固定電話回線を残すメリット、デメリットもよく聞いてから決めましょう。
 なお、IP電話と同じ理由で、交換機を必要とする電話や、パソコン、ファックスも、特別な自家発電装置などがない限り使用できません。ただし、パソコンによるインターネット等はネットワークが生きていれば、使える可能性もあります。
     >>停電で、欲しい情報が入手できません

 携帯電話ですが、携帯電話の通話(音声)は、一般の固定電話と同様に、皆が一斉に電話をかけることから、ふくそう(輻輳。一斉にある地域に電話が集中して、交換機の処理能力を超え、つながらなくなること)を起こしたり、交換機のシステムダウンを警戒して通話が制限されたりします。これにより、地震直後のほんの一瞬だけ音声がつながる場合がありますが、通常の固定電話と同じで、使えません。2006年に都市部のJRで起きた人身事故による1、2時間の電車の遅れの際にも、一部地域で携帯電話は通じなくなりました。それほど、携帯電話は、ぜい弱です。災害時の優先電話になっていても、空いている回線のなかで優先されるだけなので、つながらない可能性もあります。
 なお、携帯電話をお持ちの方は、手回しなどで充電できるものを必ず購入しておきましょう。基地局が近くにない場合、電池は瞬く間に減っていきます。
 メールについては、下記のリンクをご参照ください。
     >>メールはすぐ来る、必ず届くとは限りません

 古くからあるアナログ固定電話は、一般にIP電話より、はるかに災害に強いツールといえます。固定電話は、電話線から電源をとっているため、停電になっていたとしても、電話線が切れていなければ全く問題なく使えます。ただ、皆が一斉に電話をかけることで、携帯電話と同じようにふくそう(輻輳)したり、こういった事態を避けるために電話局によって素早く通信量の制限が設けられる場合があります。このため、つながらないからといって何度もかけると、よりつながらない、という事態に陥ります。大切な緊急の電話を必要とする方もいらっしゃるので、災害直後の電話は、特に被災地の外からは、数日間、がまんして171を利用してください。
     >>災害時、電話をするなら171

 公衆電話が一番強い理由は、上述した通話制限を受けない優先電話となっているからです。緑やグレーの公衆電話(ピンク電話は含みません)は、電話線が全部のルートで切断されたり、通信機器や回線が被災していなければ、一般の方に身近な電話として災害時にもっとも有効な通信ツールと言えそうです。
 最近、街なかで公衆電話の数が少なくなってきています。これは、ある一定量の利用がなければ、撤去される方針にあるためですが、このような状態を、防災関係者は大変、危惧しています。皆さんは、ご自分の行動圏内のどこに公衆電話があるかを、知っておくことも大切となります。さらに、災害時に強いということを鑑みますと、公衆電話は、学校や駅、ビルなどの人が集まるところには複数台(できるだけ多く)の設置を、さらに中山間地域では、少なくとも集落・流域単位で必ず1台は確保しておくことが望まれます。
 そして、いざというときには、公衆電話にみなが殺到することになりますので、一人の人が長電話したり、複数カ所に連絡するといったことは避け、たとえば、電話は一人2件まで、なるべく短く(被災地外の人に第三者への電話を依頼するなどといった工夫をする)するといったルールや、171の使い方を家族中で知っておくことも必要です。

 このほかに、衛星電話がありますが、一般の家庭にはそれほど普及はしていないので、比較的、災害時に強いと言えそうですが、これも、他の電話と同じように輻輳する可能性があるとのことです。

 これらのようなことに加えて、通信機器や通信回線自体が被災して、通常の通信許容量より減少している場合や、基地局のダウン、多数の電話線が切断など、さまざまな事態が想定されます。実際に阪神・淡路大震災で次のようなことが起きました。

  • 神戸市内の8局のNTT交換所では、施設被害は軽微であったものの商用電源の途絶とバッテリの倒壊や過放電が重なり、計28万5,000の加入回線が被災した。移動電源車による応急的な電源供給が確立されるまで、最長約30時間の通信機能麻痺の原因となった。
  • NTTでは、長距離伝送4区間で障害が発生した。
  • 日本テレコム(株)でJR在来線に敷設する光ファイバーケーブルの一部が断線、日本高速通信(株)では阪神高速神戸線の倒壊により光ファイバーケーブルが断線した。いずれも他社回線でバックアップがとられた。
  • NTTの通信施設は、洞道7箇所、管路5.9%(217km)、橋梁添架管路72箇所、マンホール10.0%(約2,600箇所)、地下ケーブルの0.23%、電柱の1.5%、架空ケーブルの1.7%などの構造的被害を受けた。加入者ケーブル損傷によるサービス中断回線数は約20万回線。
  • 被災地内の公衆電話のうち約3,500台が使用不能になった。
  • 電柱、架空ケーブルについては、家屋の倒壊にともなう電柱の倒壊や架空線路の切断、および火災による架空線路の焼失などの被害が多発し、電話回線の不通といった機能的な被害の主因をなしている。

 阪神・淡路大震災当時と大きく状況が異なるのは、携帯電話の普及と、公衆電話の減少です。これだけ通信環境が変われば、いざ災害となってどういう事態に陥るかはわかりません。絶対に使えるものはないので、災害時の拠点となるような場所においては、複数種類の通信機器を備えておくほか、伝言を伝える人材の確保も必要となります。

 電話は、家屋倒壊や焼失世帯を除く約10万回線については、約2週間で復旧。不通になった専用回線(約4,000)についても、ほぼ同時期に復旧しました。


  主な参考資料 :
   「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」 
    内閣府・(財)阪神・淡路大震災記念協会(一部編集)   
 ※ 上記、資料に記載されている参考文献の一覧はこちらから >>

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