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高層ビル、超高層ビルでは、長く大きな揺れ!

高層ビルは、上に行くほど大きく揺れます大きな揺れでエレベータのロープがきれる場合もあります
火災が起きると、階段やエレベータが煙突のようになって煙が充満する可能性があります一番心配なのは火災
注)イラストはイメージです。 

 地震のとき、ビル(特に超高層ビル、高層ビル)では、さらに大きな被害が予想されます。
 たとえば、

  1. 震度がそれほど大きくなくて地表はあまり揺れなくても、上層階では大きな揺れになる、また、長く揺れる
  2. エレベータが停電による影響で止まることに加えて、破損するなどの被害を受ける
  3. 一旦、どこかの階で火災となった場合、非常階段やエレベータは煙突のようになって、煙が上がり充満する
  4. 長周期地震動(数秒から十数秒のゆっくりした揺れ)で、建物によっては共振が起き、想定外の被害がおきる

といった可能性があります。それぞれ、対策としては、

  1. 家具やピアノなどが床をすべって大きく動くといった危険があるので、まずは家具やピアノ、テレビや電化製品などが動かないように固定してください。地震で動く家具や机に身を寄せても動く危険がありますし、窓際もガラスが割れて外に投げ出されたりする可能性もあります。家具や割れたものが飛んでこない太い柱に身を寄せるようにしましょう。
  2. エレベータにのっていたら、行き先ボタンを全部押し、止まった階ですぐ外にでましょう。運悪く閉じ込められた場合には、そこからの避難は自力では難しいので、インターフォンなどで外と連絡をとり、落ちついて救助を待ちましょう。
    また、階下で火災が起きれば、エレベータも煙突の役割をして煙があがってくる場合があります。次の3を参照に、火災のときはエレベータを使わないようにしましょう。
  3. どの階で火災が起きているかを確認してから行動する必要があります。たとえば、エレベータが動かなくなって階段で避難しようと思うと、階段を煙突代わりに煙があがってくることが考えられます。その煙を吸うと、一酸化炭素中毒(意識を失い、最悪、そのまま死亡)になります。管理人がどの階で火災が起きているかを早急に把握し、住民や利用者に一斉に情報を知らせ、階ごとに適切な行動(各階からの一斉避難は、かえって時間がかかったり、思わぬ事故を招くことがある)を指示できるよう、訓練をしておくことが必要です。火元や火災の規模によっては、そのまま自分の家や部屋にいたほうが安全な場合もあります。煙がドアな隙間から入ってこないようにガムテープや布などでふさいで、鎮火を待つという方法も頭に入れておいてください。
  4. 大きな地震のあとは、なるべくエレベータの利用を避けましょう。余震がきて、閉じ込められる可能性もあります。

 上述した長周期地震動またはやや長周期地震動とは、5秒以上もしくは2〜5秒にわたる長い周期の揺れ(人が感じることができないほどの、ゆったり揺れ)のことをいいます。特徴は次のとおりです。

  • M8クラスのプレート境界型(海溝型)地震で起きやすく、私たちが体感する揺れとは別に、長周期地震動(少し周期の小さいものは、「やや長周期地震動」という)が発生する
  • 震源地から100km、200kmという距離を衰えることなく伝わり、遠方に被害を及ぼす
  • 地盤構造(堆積(たいせき)層の厚さや形状、盆地の大きさ、表層など)によっては、増幅され、長く揺れが続くなど、局地的に被害が大きくなる恐れがある(特に大都市のある関東平野、濃尾平野、大阪平野などの大規模堆積盆地では、明らかに揺れる時間も長く、揺れも増幅することがわかっている)。
  • それぞれ固有の周期をもつ超高層ビルや高層ビル、免震ビル、巨大石油タンクや長く大きな橋への被害が予測され、対策に向けて研究が進められている。

 それぞれの構造物は、その構造物にあった周期の震動で揺らすと「共振」という現象が起き、揺れが大きくなります。共振が起きた例として、最近では、次に示した十勝沖地震、紀伊半島沖を震源とする連続地震、新潟中越地震などの発生時に、遠く離れた場所で長周期地震動が観測されています。

  • 2003年9月26日に発生した十勝沖地震(M8.0)で、苫小牧市を中心として、数多くの石油タンクが被害を受けた。
    浮屋根式石油タンクにおいて、スロッシング現象(地震の揺れに伴う貯蔵液の液面揺動のこと)が起き、浮屋根が浮力を失って液面下に沈没したり、油面が大気にさらされたり漏れ出て全面火災にまでなった(現状では、石油の貯蓄量を減らし液面を下げる対策しかなく、耐震化もなされていない石油タンクは多くある)。
  • 2004年9月5日に発生した紀伊半島沖を震源とする地震(M6.9)と東海道沖を震源とする地震(M7.4)では、大阪平野、濃尾平野、東京平野上など、各地で長周期の地震波が観測。
  • 2004年の新潟中越地震で、200km離れた東京の高層ビルのエレベータでメインロープの破損や本体の破損などが発生。100m以上の超高層ビルに被害が集中し、エレベータの安全装置もこのゆったり揺れに作動しなかったとされている。
       2005年7月23日、首都圏をおそった地震によるエレベータ被害について >>

といったことが起きています。エレベータ業界でも対策に乗り出していますが、長周期地震動が巨大構造物に及ぼす影響は未知数の部分も多く、さらなる研究が待たれます。

 なお、長周期地震動について、くわしくご覧になりたい方は、古村孝志(東京大学地震研究所 助教授)さんのまとめられた、次のページを参考にされるとよいでしょう。
 ○関東を襲う大震災と強振動―地震観測と地球シミュレータで見る関東平野の大揺れ―
   →パンフレット
 ○2004年新潟県中越地震 の地震波動伝播と関東平野の強い揺れ

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